現地記者が語る、古橋亨梧の強み

こんにちは、ディ アハト編集部です。本ニュースレターをお読みくださりありがとうございます。第40回はスコットランドで戦う日本人ストライカー、古橋亨梧選手の分析記事をお届けします。セルティックのレジェンド選手と比較されるまでに飛躍を遂げた古橋選手。彼の活躍を、現地の記者はどう見たのでしょうか?ぜひお楽しみください!
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※本記事は2021年11月にマッギンレー氏によって作成された以下の記事をもとに翻訳・編集したものとなります。
2021年の夏、横浜F・マリノスの監督時代からアンジェ・ポステコグルーが高く評価していた「古橋亨梧」が、ヴィッセル神戸からセルティックFCに移籍した。当時、現地スコットランドの人々は、彼がどのような選手なのか想像することは難しかっただろう。
しかし、すべてのセルティックを応援するTwitterユーザーは、YouTubeで彼のプレーを手あたり次第に見るようになっていった。そして、すべてのYoutubeのハイライトを見終えてしまった彼らは、午前10時に亨梧のヴィッセル神戸でのラストマッチにチャンネルを合わせるようになっていたのだ。
無名といえるようなマーケットから才能ある選手を獲得し、営利目的で移籍させようとするクラブは少なくない。今回もそのような意図を持った移籍であれば、何を今更……と感じたかもしれない。ところが亨梧の場合、絶頂期を向かえようとする選手、まさに「グラスゴーの中心でキャリアのピークを迎えようとするサッカー選手」を獲得したのだ。
ヴィッセル神戸では21試合15得点という好成績を残し、セルティックに移籍した夏の時点でまだJリーグはシーズンの途中だった。しかし、グラスゴーに亨梧が到着して数か月経っても、彼はまだ暫定のJリーグ得点王として君臨し続けていたのである。
「彼はヨーロッパでプレーする才能を絶対に持っている」。アンドレス・イニエスタは、「彼は高いテクニックを持っているし、成功できると信じている」と、かつてのチームメイトの素質を認めていた。 (出展:The Times Celtic ‘ideal’ for Kyogo Furuhashi, says Andrés Iniesta)
もし、あのイニエスタが誰かを良い選手だと言うのなら、その言葉には耳を傾けるべきだろう。しかし、亨梧がここまでスコットランドの地での素晴らしいスタートに成功することは、誰も予想していなかっただろう。彼のこれまでの驚異的な活躍は、すでに多くの関心を集めている。
セルティックでの初ゴールは、この日本代表選手の資質をすべて詰め込んだようなもので、サポーターを一瞬で虜にするには十分だった。DFの背後に消えてマークを外し、絶妙なファーストタッチでゴール前を駆け抜け、正確なタッチでキーパーの上に浮かせたゴール……控えめに言っても、本能的な才能を持ち合わせた選手だと感じさせた。

初先発となったUEFAヨーロッパリーグ予選、ヤブロネツ戦のアウェイゲームで初ゴールを決め、人々を驚愕させるパフォーマンス。これは、故郷から何千キロも離れた言葉も通じないまったく新しい環境に、彼がすぐに適応できたことを物語っている 。
常に動き回り、統制の取れたディフェンスラインを乱し、一旦ハーフヤードのスペースを見つけると簡単にシュートを決めてしまう。これらのプレーに多くの人々が目を見張り、彼がスコットランドで「他の選手と一線を画している選手だ」と主張するのである。
その後、本拠地セルティック・パークでのデビューを飾ったダンディーFC戦では、ハットトリックを達成。サポーターは早くも新たなスーパースターに釘付けとなった。

Enjoy our @Kyogo_Furuhashi special #CELDUN gallery Celts - goodnight! 💚🤍
@CelticFCJPN 🇯🇵 #COYBIG 🍀

✅ Three assists for Ryan Christie
✅ Three points for the Bhoys
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セルティックは、ムサ・デンベレやオドソンヌ・エドゥアールなど、著しい成長を見せたフォワードに恵まれてきた。亨梧の場合は、わずか170cmの小柄な体型を武器にした本能的なプレーで、ポステコグルー監督の流動的で攻撃的なプレースタイルにおいて他との違いを出せる良いアクセントになっている。
試合終了時のシーンだけを見ても、彼がすでにチームメイトからどれほど評価されているかがわかるだろう。常に笑顔でプレーし、周囲に影響を与えるそのキャラクターは、フィールドでのクオリティと並んで、まさにセルティックのヒーローになり得る存在だ。
亨梧とリール・アバダ(イスラエル代表:右サイドアタッカー)との関係は、攻撃には定評があったものの守備面で問題を抱えていたチームにとって最も重要なものだ。多くの選手が入れ替わったチームの環境を考慮すると、早い段階でパートナーシップを構築する必要があった。
ELグループステージのフェレンツヴァロスTC戦でアバダが決めたゴールに見られるように、2人の相互理解によって、亨梧は深い位置でボールを拾ってアバダにフィード、あるいはその逆の動きをすることができるのだ。しかし、本当に際立っているのはジョタ(ポルトガル:MF)との関係だ。

🇯🇵#古橋亨梧
今季5ゴール目🔥🔥
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カウンターからジョタが折り返し、
最後は古橋が冷静に押し込んだ👏👏
🏴スコティッシュ・プレミアシップ
🆚ハイバーニアン×セルティック
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以前の記事(以下リンク参照)で述べたように、ジョタはセルティックでのキャリアにおいて亨梧同様に驚異的なスタートを切った。ジョタは亨梧を相方とすることで、彼の才能を完璧に補完するベストパートナーを見つけたといえよう。リーグ戦第13節、アウェイのダンディーFC戦は2人ともが2得点を決め、2 - 4で勝利。最高のパフォーマンスを見せた。

亨梧は積極的なプレッシャーで危険な位置でも相手ボールを奪い続け、中央で中盤まで下がる動きによってダンディーの選手をポジションから引きずり出しジョタのためにスペースを作るなど、この試合で際立っていた。そして、彼のフィニッシュの精度は、試合を重ねるごとに向上している。
初期の亨梧は、おそらく得点するために2、3回のチャンスを必要としているように見えた。だが、多くのチャンスを作れていたので、それはさして重要ではなかった。そして今や、ゴール前での冷静さが現れ始め、彼はさらに危険な選手へと変貌している。10試合で7ゴール、平均すると95分に1点のペースで得点を決め(訳注:元の記事が公開された2021年11月8日時点の記録)、亨梧はリーグ得点王候補と肩を並べる存在である。
ELのグループステージでは4試合で2ゴール1アシスト、予選のヤブロネク戦とプレーオフのAZアルクマール戦では3ゴールを記録している(訳注:フェレンツヴァロスTC戦で決めたゴールは、ELグループステージのベストゴールに選出された)。すでに、彼はトップレベルの相手にも通用することを証明しており、ポステコグルー体制下のセルティックで起こったすべてのポジティブな要素を語る上で、不可欠な存在となっている。

👏Congratulations, @Kyogo_Furuhashi .
#UEL | @CelticFCJPN 🇯🇵
どこからともなく現れた逸材のように思えるが、日本の人々からすれば「亨梧の欧州移籍は何年も前から決まっていたことだ」と思っているのではないだろうか。
セルティックは、ヨーロッパのトップ5リーグで通用するレベルの26歳の選手を500万ポンドで獲得し、その恩恵を享受しているのだ。
スコットランドに到着したとき、一部の人はこのフォワードがフィジカルなゲームに打ち負かされるのではないかと疑問視していた。しかし、亨梧はそんな懐疑的な人々を笑い飛ばし、スコティッシュプレミアシップで次々と相手ディフェンスを弄んだのである。それは、彼の人柄だけでなく、彼がいかに優秀でユニークな才能を持っているかを表している。
亨梧の行く末は誰にもわからないが、今の彼はセルティックサポーターが求める選手であり、アンジェ・ポステコグルーが求めるすべての要素を兼ね備えた選手でもある。この調子で数シーズン続けていくことができれば、クラブのレジェンドとして語られることは必至である。
文:ショーン・マッギンレー( @seanmcsport)
訳:黒崎灯(@minMackem)
編集協力:結城康平(@yuukikouhei)
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