プレミアリーグ レフェリー名鑑
こんにちは、ディ アハト編集部です。本ニュースレターをお読みくださりありがとうございます。第25回は、プレミアリーグのレフェリー名鑑をお届けします。選手のプレーに注目する観戦とはまた違った楽しみ方、ぜひご覧ください!
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世界最高峰のリーグである、イングランド・プレミアリーグ。激しい肉弾戦を好むサッカーの母国において、試合をコントロールするレフェリーの存在は欠かせない。ファンからは嫌われることも多いレフェリーだが、彼らの情報を知っておくことで違った見方が生まれるかもしれない。
そこで今回は現在プレミアリーグで笛を吹いているレフェリーの中から、通算100試合以上を担当をしている主審10名を選出して「レフェリー名鑑」をお届け。これから盛り上がっていくプレミアリーグ観戦のお供になれば幸いである。
◇マイク・ディーン
2000年にデビューを果たした彼はプレミアリーグの最古参レフェリーであり、リーグ最多主審担当記録を更新し続けている。ただ国内タイトルであるカラバオカップ、FAカップの決勝及びコミュニティシールドを担当したのはそれぞれ1回であり、「10年以上決勝戦で笛を吹いていない」というのは意外なデータだ。
Now's your chance!
You're the referee! Mike Dean watch out!
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昨シーズンは25試合の担当で91枚のイエローカードと8枚のレッドカードを提示。2試合連続でオンフィールドレビューを行い、誤ってレッドカードに修正してしまった。
そんな彼だが、試合中は独特なリアクションやジェスチャーをすることが多いことから珍場面としてファンの話題になることも多い。人間味あふれるレフェリングが、長くトップレベルで笛を吹き続けられる秘訣なのかもしれない。
【知っていれば通?マイク・ディーン豆知識】
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イギリス4部リーグに所属するトレンメア・ローヴァーズFCの大ファンであり、スタンドで雄叫びを上げながらガッツポーズをする姿が映像に記録されている。
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トレンメアの21/22シーズン開幕戦もスタンドで観戦していたが、副審の負傷を受けて急遽ピッチに登場。四審を担当したことがある。
すると試合途中で副審が負傷。なんとマイクディーンがピッチに向かい急遽四審になったとのこと
プレミアリーグ審判員が大ファンのクラブの公式戦で審判を務める珍事
◇マーティン・アトキンソン
15歳から審判活動を行なっており、今年50歳になったベテランレフェリー。サポーターからの評価は低いものの、頻繁にビッグマッチに割り当てられておりプレミアリーグを代表するレフェリーである。
複数の国内タイトルマッチに加え、14/15シーズンのUEFAヨーロッパリーグでは主審を担当している。
同じベテランレフェリーのマイク・ディーンと比較すると、冷酷なレフェリングスタイルであり、淡々としているイメージがある。判定理由を簡潔にジェスチャーを用いて伝えるなど、様々なプレッシャーのかかる世界最高峰リーグでも試合進行のスキルは確かなものだ。
【知っていれば通?マーティン・アトキンソン豆知識】
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リーズ・ユナイテッドFCのファン。
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世界的に評価の高い同国の元レフェリーのマーク・クラッテンバーグは、アトキンソンについて「リスペクトはしているが、殴り合ったこともあり友情はない」と先日メディアに語った。
◇アンドレ・マリナー
アトキンソンと同じく、 2004年にプレミアリーグでデビューしたレフェリー。2014年のチェルシーとアーセナルの試合で人違いのレッドカードを提示したことが大きな話題となり、現在もこの対戦カードの特徴的なシーンとして取り上げられることがある。
高身長と佇まいから独特のオーラを放ち、ダンディーなレフェリーである。レフェリングスタイルとしてはスプリントで争点に近づく場面は少なく、大股のランニングをしながら見やすい角度に立つことを意識しているように感じる。
【知っていれば通?アンドレ・マリナー豆知識】
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アストン・ヴィラFCのファン。
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ピーター・クラウチのポッドキャストに出演した際、アストン・ヴィラ所属時代のクラウチに文句を言ったことがあるかと聞かれ「決定力がなかったから多分言った」と返事をしたり、ハットトリックをしたマネからボールを奪い取るフリをしたり、ユーモアのある人柄である。
◇マイケル・オリバー
FIFAレフェリーとして国際試合でも活躍する、イングランドNo.1レフェリー。25歳でプレミアリーグデビューを果たし、リーグ最年少主審記録を打ち立てた。36歳ながらリーグ通算主審試合数は300試合に迫っており、イングランドフットボール史に残るレフェリーであることは間違いない。
彼の特徴的なレフェリングスタイルとしては、「かがみ込み」がある。ゴール正面からシュートが放たれるときに重心を下げ、かがみ込むことで、安定した状態でハンドの反則が起きた場合に正しく判定しようとするものだ。また片手でのアドバンテージを愛用すること、最良の位置から判定するため頻繁にポジションを取り直すことも特徴的だ。現在の目標は2022カタールW杯に選出されることだろう。
【知っていれば通?マイケル・オリバー豆知識】
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ニューカッスル・ユナイテッドFCのファンであり、「ニューカッスルが不利になる判定は、すべて悪い判定」と冗談気味にコメントしている。
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ニューカッスルは毎年のように残留争いをしているため、シーズン終盤に下位クラブの試合を担当することはほとんどない。
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EURO2020では3試合を担当したが、決勝ではスタンドから手拍子&チャントの熱唱でイングランド代表を応援する姿が目撃された。
◇アンソニー・テイラー
こちらも国際試合で活躍する、イングランドNo.2レフェリー。EURO2020でエリクセンが倒れた際、彼の迅速な対応が称賛された。年齢的に来年のカタール大会が W 杯を担当する最後のチャンスになるが、主審は各国1名が定員であることからマイケル・オリバーより高い評価を得る必要がある。
彼は16/17シーズンに続いて19/20シーズンもFAカップ決勝を担当したが、通常これは「審判キャリアで1回のみ」の担当であることが決まっている。
19/20シーズンにおいては、コロナ禍による「通常とは異なる状態での決勝」がレフェリーにとって唯一のFAカップ決勝担当とならないように、FAカップ決勝担当経験のあるレフェリーを割り当てるという配慮としてなされたものだ。
【知っていれば通?アンソニー・テイラー豆知識】
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イギリスがロックダウンとなった際、ボランティア団体に参加して食料等の配給を行なった。
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審判交流研修プログラムで2010年に来日。Jリーグで3試合の主審経験がある。
◇ケヴィン・フレンド
淡々とレフェリングをすることが特徴的な、中堅レフェリー。2部のチャンピオンシップで100試合以上の主審を担当しているが、プレミアリーグでも250試合以上主審を務めている。VARからの助言を受けて、TVシグナルをする際は小さく素早い動きで描く。
【知っていれば通?ケヴィン・フレンド豆知識】
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レスター・シティFCのファン。
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プレシーズンマッチで自身を揶揄するチャントを歌うスタンドに向け、イエローカードを提示した。
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審判交流研修プログラムで2012年に来日。Jリーグで2試合と、ナビスコカップ(当時)で1試合の主審経験がある。
◇ジョナサン・モス
プレミアリーグの主審として最初に思い浮かべる人も多いかもしれない、外見に特徴のあるレフェリー。今年で51歳になるがビッグ6の試合を担当することが非常に多く、まだまだ健在のベテランである。
18/19シーズンはコミュニティシールドとカラバオカップ決勝という 、2つのタイトルマッチで主審を務めた。
【知っていれば通?ジョナサン・モス豆知識】
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サンダーランドAFCのファン。
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リヴァプールFCに所属しているジェイムズ・ミルナーの小学生時代のコーチは、ジョナサン・モスである。
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レコードショップを経営しており、Google上での評価は3.9/5.0となかなか高い。
◇クレイグ・ポーソン
FIFAレフェリーの1人。UEFAチャンピオンズリーグは1試合の主審担当があるが、現在はUEFAヨーロッパリーグを主戦場としている。2015年はサウジアラビアスーパーカップの主審やカラバオカップ決勝とFAカップ決勝の四審を務めるなど東奔西走、激動のシーズンだった。
まだFAカップ決勝の主審担当はないが、ファンがスタジアムに戻ってきたことで前述の特例措置は解消される見込みであり、まもなくその時が来るかもしれない。
【知っていれば通?クレイグ・ポーソン豆知識】
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シェフィールド・ユナイテッドFCのファン。
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PUBLIC SERVICE BROADCASTINGというバンドが好き。
◇スチュアート・アトウェル
マイケル・オリバーが記録を破るまで、プレミアリーグ最年少主審記録を保持していた審判。プレミアリーグデビューを果たしてから約1ヶ月後の2部担当時、ゴールとはまったく関係のないところに飛んだボールを副審とともにゴールと判定してしまったことがある。
現在はFIFAレフェリーとなっており、アンソニー・テイラー担当試合のVARとして国際試合に割り当てられることが多い。
【知っていれば通?スチュアート・アトウェル豆知識】
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審判交流研修プログラムで2010年アンソニー・テイラーと共に来日。Jリーグ3試合と、スルガ銀行チャンピオンシップ1試合の主審経験がある。
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昨年のアーセナルvsリヴァプールで見せた、独特な髪型が話題になった。
◇ポール・ティアニー
昨シーズンのカラバオカップ決勝に続き、今シーズンの開幕を告げるコミュニティシールドでも笛を吹いた。最近はビッグマッチの担当が多く、今季は開幕から7試合のうち3試合がビッグ6の直接対決の主審という驚異的な割り当てがされている。彼が期待されていることは確実だろう。
FIFAレフェリーではあるものの、最近は国際試合で主審を務める機会は少なくなっている。
【知っていれば通?ポール・ティアニー豆知識】
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昨シーズンのFAカップ決勝に第四審として割り当てられたが、負傷により変更されてしまった。
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審判交流研修プログラムで2014年に来日。Jリーグで2試合とナビスコカップで1試合の主審を担当した。
◇おわりに
以上が現在プレミアリーグで主審を務めている、通算100試合以上担当レフェリーになる。今季はオーストラリア人レフェリーのジャレッド・ジレット氏がプレミアリーグデビューをするというニュースもあった。本記事で紹介した経験豊富な9名のレフェリー以外も、ぜひ注目していきたい。
審判という存在は、イメージだけでなんとなく忌諱しがちかもしれない。しかし、それぞれのレフェリーの特徴を探しながら試合を観戦したり、個性的なエピソードを集めたりといった楽しみ方もできる。この記事をきっかけに、皆さまがプレミアリーグ観戦の際に「審判」という切り口から新たな楽しみや発見と出会うことができれば幸いだ。
文:攻劇(@kogekidogso)
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