U-23アジアカップから見るレフェリング~AFCのVAR運用と足裏ファウルの厳罰化~

VAR介入回数が非常に多い大会となった、今年のU-23アジアカップ。このような状況下、選手たちはどのように戦っていけば良いのでしょうか?国際試合のレフェリングの傾向について、攻劇(@kogekidogso)が考えます。
ディ アハト編集部 2022.06.28
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こんにちは、ディ アハト編集部です。本ニュースレターをお読みくださりありがとうございます。第75回では、U-23アジアカップのデータを用いながらAFC主催試合のレフェリングについて見ていきます。ぜひお楽しみください!

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サッカー日本代表🇯🇵
@jfa_samuraiblue
パリ2024オリンピックに向けた第一歩として、優勝を目指し臨んだAFC U23 #アジアカップ ウズベキスタン2022は3位という結果に終わりました。

この大会で得たものを成長に繋げていきます💪
引き続き #U21日本代表 の応援をお願いします🔹

#AFCU23
#jfa #daihyo
#サッカー日本代表
2022/06/19 00:38
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 サウジアラビアの優勝で幕を閉じたU-23アジアカップ2022。日本は1つ下のカテゴリのU-21世代が戦い3位となったが、6試合で4度VARの介入に泣かされるなど、前回大会に続いてレフェリングに疑問を感じた方も多いだろう。

 そこで今回は、同大会のVARデータを振り返りながら、AFC(アジアサッカー連盟)主催試合を中心とする国際的なレフェリングについて考えていく。

◇データから見える、VAR介入の多さ

 AFCは他の大陸連盟と同じくVARシステムの使用に積極的であり、ファンもこの方針に肯定的であるように感じられる。ただ、AFCの審判員は能力差が激しいことも特徴的だ。世界トップレベルの審判員と基準に悩まされるような審判員が、同一大会にいることは珍しくない。VAR有試合の経験も様々であるため、VARの過剰介入だと感じられる事象は多いように思う。

 そして、今回のU-23アジアカップは全試合にVARシステムが導入され、将来のAFCを担う若手審判員やAFCの審判員トップカテゴリーには入っていない審判員が多く割り当てられた。選手の出場条件が23歳以下の大会であるため、この判断は自然と言えるだろう。ただ、以下に示すVARデータからも分かるように、全体的なレフェリングのレベルは高くなかったと言える。

VARデータ (注:筆者の集計によるものであり公式データではない)

VARデータ (注:筆者の集計によるものであり公式データではない)

 データ上はほとんど毎試合レビューが行われたことになるが、国際平均は3試合に1回であることから、VARの介入回数が極めて多い大会であったことがお分かりいただけるだろう。筆者が把握している中では、世界で最もVAR介入頻度の高い大会である。これはピッチ上の審判員のスキルが足りていないことと、VARが過剰介入したことの両方が要因であるように思われる。

 この記事を執筆するにあたりすべてのレビューを確認したが、本来はVARが介入すべきではないであろう事象でレビューが行われたシーンは複数あった。例として、以下の事象が挙げられる。

  緑のユニフォームのイラクが得点するも、オンフィールドレビューによって取り消しとなった。「得点前にドリブルをしているイラクの選手が、相手選手の顔を叩いたこと」が理由だが、遡りすぎているように思う。

 得点のチェックはAPP(アタッキングポゼッションフェイズ)と呼ばれる攻撃の一連の流れが対象であり、それより前に遡ることはできない。取り消す理由となった事象が発生してからボールがゴールネットに入るまでは、ボールの移動距離を考慮しても長い時間が経過しており、これを一連の流れの中と判断するのは不適切であると筆者は考えた。

 他にも、PKの可能性として主審に映像を見せたVARがオフサイドチェックを怠り、ファウル部分の確認後にオフサイドラインの生成を行うという事象もあった。結果的にオンサイドでありPKが与えられたが、通常のVAR有試合ではあまり見ないようなシーンであった。

 このようにピッチ上で誤った判定をしてしまう審判員と、VARシステムにまだ慣れていない審判員とが合わさり、不安定なレフェリングと感じられてしまう大会であった。

◇退場者の多さも見逃せない

 レフェリングに関して筆者が注目したのはVARシステムのみではない。退場となるファウルの多さも気になった。

 筆者の集計では全32試合で12枚のレッドカードが提示され、そのうち11枚が1発退場であった。またVARの介入によって1発退場に変更された回数は5回であり、人間違いのカード提示でイエローカード対象者が修正され、その結果2枚目の警告として退場になる事象もあった。 

 VARがいることで視野外の危険な接触などが見つかるため、従来よりもレッドカードが提示される回数は増えると思われるが、3試合に1枚以上のペースでレッドカードが提示されたのは異例だ。このデータをJ1で単純に置き換えれば、毎節3枚以上レッドカードが出ることになる。

 この原因には様々な点が挙げられる。アジアは審判員だけでなく選手のスキルも国によって様々であり、ワールドクラスの試合では発生しないような悪質なファウルや行為が起きてしまったのも事実だ。プレーとは関係のない行為が退場の理由となる「乱暴な行為」が今大会では4回発生した点は、AFCにとって改善は必須だろう。これはサッカーの魅力を削ぐものであり、排除すべきだ。

 レフェリングに関する点だと、足裏のファウルの厳罰化が挙げられる。前回大会では田中碧の退場が大きな話題となったが、現在はこの基準がスタンダードになりつつある。

スポーツ報知 サッカー取材班
@hochi_football
日本協会、VARめぐりAFCに意見書…田中碧の一発退場、PK判定に適用なし hochi.news/articles/20200… #サッカー #football #soccer
2020/01/17 08:21
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 今大会、足裏でのファウルを中心とした危険なタックルによる「著しく不正なプレー」による退場は5回発生し、その中には先にボールに触れたがその流れで相手選手を傷つけてしまった事象も複数含まれている。「ボールに触れることで自動的にノーファウルになる」という考え方は前時代的で、むしろ接触の仕方や部位によってはレッドカードが出るという点は確実に把握しておくべきだ。これは、AFCのみならず国際的にそのような傾向となっている。

◇最後に

 以上のことを踏まえ大会を通して分かるのは、「VARシステムは誤審を無くすものではないこと」と、「選手の安全担保が非常に重視されていること」の2点である。AFCのVARシステム運用は発展途上の段階であり、各審判員がテクノロジーに慣れる必要がある。残念ながら完璧な運用には程遠いといえよう。

 また、VAR介入対象外の部分では、AFCはJリーグと比較しファウルの基準が低い。世代別代表の選手たちは国際試合の経験が少ない場合もあり、大会ごとの基準に悩まされることも多いだろう。選手は、激しく守備をしながらも相手に配慮したプレーが求められるとともに、大会ごとの適応力が試されるのだ。

文:攻劇(@kogekidogso

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