蹴球をめぐる冒険~footysab氏インタビュー~

そこにしかないサッカーと文化を求めて、世界各地を回る「サブさん」ことfootysab(@footysab)氏。コロナ禍になって「選手個人のスポンサー」も始めたという彼に、インタビューを行いました。
ディ アハト編集部 2022.05.08
誰でも

こんにちは、ディ アハト編集部です。本ニュースレターをお読みくださりありがとうございます。第61回は、footysab(@footysab)というアカウントで活動されているサッカーファン、「サブさん」のインタビュー記事をお届けいたします。

これまで30以上もの国を訪問した彼は、フェロー諸島、アイスランドやモロッコ、マレーシア、ロシアのサハリンまで「その地にあるサッカーを求めて」旅をしてきたと言います。いったいどんな冒険があったのでしょうか?ぜひお楽しみください!

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◇サッカーあるところ、どこにでも行く男

黒崎:まずは、ディ アハト読者の皆様に向けて簡単な自己紹介からお願いいたします。

footysab(以下サブ):footysabという名前で活動しております、サブと申します。

コロナ禍になる前までは、世界中のサッカーを見たいと思い色々な国を旅していました。noteなどでも訪問記事を書いてたりしていますが、30ヵ国以上は行ったんじゃないかな。

もちろんコロナ前ですが、モロッコにも行ったのでアフリカ大陸上陸も達成しました。これで南米を除けば、すべての大陸を訪れたことになりましたね。

サブさんの訪れた国(アイコンがピンク色:試合観戦地、青色:日本代表戦観戦地、水色:訪問のみの地域、黒色:バスケ試合観戦地、緑色:Jリーグ観戦地、黄色:地域リーグやフットサル観戦地)
サブさんの訪れた国(アイコンがピンク色:試合観戦地、青色:日本代表戦観戦地、水色:訪問のみの地域、黒色:バスケ試合観戦地、緑色:Jリーグ観戦地、黄色:地域リーグやフットサル観戦地)

黒崎:選ぶのは難しいとは思うのですが、この中で特に思い出に残っている国はありますか?

サブ:スコットランドが最も印象に残っていますね。自分で言うのもどうかと思うのですが、素敵な人との縁に恵まれているなと感じています。

スコットランドでは、とにかくいろいろな人にお世話になりました。年末年始に旅程を組み、スコットランド最北端のエリアに行ったのですが、公共交通機関が止まっていまして……それこそ、事前情報は調べていたんです。でも、電車やバスが1本も動いていないのは予想外でした。

それで、どうしようもなかったので、ヒッチハイクしてみたんです。実は過去には、フェロー諸島での成功体験もあったので(笑)。

そしたら運よく乗せてくださったのが、とても優しい方だったんです。道中に観光名所に寄ってくれたり、私が予約していた宿までわざわざ送ってくれたりと……その宿も送ってくださった方の住んでいた村からは、離れたところにあったんですが……。それでも、まあ、あんまり人にお勧めするプランではないですね(笑)。

黒崎:確かに、海外でのヒッチハイクは誰にでもお勧めできる方法ではないですよね。 とはいえ、スコットランド最北端の地で「そこまでしてでも観たい試合があった」故の行動だったということですね。

そういったいわゆる「王道」を行かないような、サブさんの観戦スタイルってどうやって築いてこられたのでしょうか?

サブ:自分が初めてサッカーと繋がったのには、親の影響がありますね。実家が静岡県の磐田市だったので、小さい頃からジュビロ磐田の試合をTVで見ていました。当時ですと、黄金時代の1番強い世代を観て育ちましたね。

育ったのは横浜だったので、家族で三ッ沢公園にお花見に行く機会があったんです。その日偶然、近くのスタジアム(ニッパツ三ツ沢球技場)で、横浜FCの試合があったんですよ。「中学生なら1,000円で試合が観られる」とのことで、親に懇願して貰った千円札を握りしめてスタジアムに飛び込んだのが、すべての始まりでした。

黒崎:中学生が1人で試合を観ようと思うのも、凄いですよね。

サブ:両親はサッカー観戦よりも、お花見しながら飲んでいるほうが楽しかったみたいです(笑)。

当時はまだカズさんの加入前で観客も2,000人程度でしたし、 自分自身横浜FCにもそこまで詳しくはありませんでした。対戦相手のモンテディオ山形についても同じく深くは知らなかったんですが、「スタジアムで見るサッカー」が面白いと感じたのはその時でしたね。

その後高校生くらいまでは、1人で横浜FCの試合を観に行っていました。当時、横浜FCに在籍していて「軍曹」と呼ばれていた、スコットランド人のスティーブン・トゥイード選手(2004~06年横浜FCに所属していたDF)が好きだったんですよね。

それで、彼の帰国後のキャリアを調べていたら、スコットランド4部などを経て引退したと知ったんです。関連する情報を集めているうちに、「変わらないサッカー」の魅力が残るスコットランドの文化に惹かれていきました。イングランドはサッカーの母国ですが、それ以上に昔の原型を残しているのがスコットランドなのかなと。それが「原風景」のように感じられました。

黒崎:失礼な言い方かもしれませんが、おそらくサブさんにとって、観戦するリーグにおけるプレーのレベルというのはあんまり大事ではないですよね?

サブ:その通りです(笑)。 戦術分析を通じて試合を観るのも、サッカー自体の発展に寄与しているところもあり、それはそれで凄いことだと思うのですが……自分が追い求める分野ではないのかな、と感じています。

使い古された言葉かもしれないですが、自分としては「サッカーを共通言語として、各地の文化を楽しんでいる」という感じでしょうか。自分がまだ知らない場所に訪れてみたいという思いがあって、世界中のいろいろなものを訪れた先々で見てみたいなと。

そして、サッカーを物差しにして、どういう暮らし方やどういう考え方をしているのか、そういったことを知りたいと思っています。サハリンもそうですし、モロッコもそうでした。アラブの方だとか、東南アジアにも行きましたね。

それぞれ「サッカーがあることで生活に潤いが生まれる」という変わらない事実がある中で、国によって違う部分を見つけることが楽しいんです。

footysab
@footysab
23. スパルタク(ロシア🇷🇺)

サハリン島ユジノサハリンスクのスタジアム。ロシア3部を戦うクラブのホームスタジアム。チケットは200円程度と安いけど、バックスタンド向こう側に車停めて眺めてるタダ見客多数。日本から一番近いであろうヨーロッパサッカー⚽️
2021/08/31 23:04
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19. Le grand stade de Marrakech(モロッコ🇲🇦)

モロッコ共和国はマラケシュの郊外にあるスタジアム。街からスタジアムに向かうバスは地元の少年のキセル多発でなかなか治安が悪かった←

イレギュラーな日程で観客少なかったが、その分来てた人間は熱く、発煙筒も飛び交う独特の雰囲気でした。
2021/08/31 00:23
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footysab
@footysab
31. á Mølini (フェロー諸島🇫🇴)

かの有名な最果てスタジアム。北部のEidi(アイヤ)という町の外れにあります。よくこんなところに作ったものです。

今ではキャンプ場として利用され、試合で使われることはなくなりました。しかし、すぐそばに写真4枚目の新しいスタジアムが作られました。
2021/08/31 23:57
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黒崎:それを知り、経験するためには現地の人たちと打ち解ける必要があると思うのですが、何か具体的にされていたことはありますか?

サブ:行った先々で、極力誠意のある行動を心がけてきました。具体的には、ボール拾いをやるのがお勧めです。観戦するチームの練習や、その辺で遊んでいる子供たちのボールを拾ってあげるんです。

それをやると一気にハードルが下がるんですよね。だって、知らない外国人がただ突っ立っていたら不気味ですからね(笑)。 なんだったら、いいシュートが決まったら拍手したり……そうすると、悪い人じゃないってことを認知してもらえるのかなと。気付いたら、地元の子たちと一緒にボールを蹴っているなんてこともありました。

黒崎:まるでその国々の文化に浸るような楽しみ方ですね。ビッククラブのスタジアムや観光ツアーでは、なかなかできない体験ですよね。

footysab
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9. バニヤス・スタジアム(UAE🇦🇪)

UAEの首都、アブダビの郊外バニヤス地区にある。バニヤスSCの本拠地。

辿り着いて最初に出くわしたこのおっさんにチケット売場の場所を聞いたら、「そこでVIPチケット配ってるからもらってや」と返された、俺史上最大の俺の質問に答えろ案件。ミリガンがいました。
2021/08/30 23:29
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@footysab
16. モルドヴィヤ・アレナ(ロシア🇷🇺)

ロシア連邦はサランスクのスタジアム。言わずもがな2018年W杯でコロンビアを撃破したあの場所。

モスクワからサポーター用無料の夜行列車で10時間以上かけて辿り着いた場所。周りはコロンビアサポーターばかりで大変でした。でもこの日はホント一生モノ。
2021/08/31 00:10
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footysab
@footysab
38. 將軍澳運動場(香港🇭🇰)

香港の東の方にあるスタジアム。強豪の南華(サウスチャイナ)のホームゲームで行きました。

相手クラブに愛媛FCなどでプレーした福田健二選手がいらして、試合後少しお話できたのが良い思い出。ここも高層ビル群が目を引く。
2021/09/01 22:55
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◇選手の「個人スポンサー」とは?

黒崎:一方で、現在はコロナ禍ということもあり、そういった原風景を生で見るための旅行には行きづらいですよね。

サブ:そうですね。実は、こんなご時世の中でやってみたのが、「選手個人をスポンサードする」という関わり方なんです。

横浜FCの熱心なサポーターの方がいらっしゃるんですが、その人が実際に選手のスポンサードをされていると聞いたのが、知るきっかけだったと記憶しています。それを知った当時は、学生だったこともありお金も無かったのですが、「へえ、そういうのもあるんだ~」くらいに思っていました。

その後、働き始めて自由に使えるお金ができてきて、フットボール旅行に出掛け始めたわけですが……コロナ禍で旅行に行くことも無くなって、自分にとっては浮いたお金でやってみた、という感じですね。

黒崎:企業や団体がチームをスポンサードするというのは、スポーツクラブ運営では当たり前に見られる構図ですが、個人が選手をという構図は珍しいですよね。

サブ:「個人スポンサー」というと「個人でスポンサードする」という意味にも聞こえ誤解を与えてしまうのですが、これは「個人選手をスポンサードする」というスタイルを指しています。決して出資者は個人だけではなく、団体もあるんですよね。地元の企業とかもやっていたりするようです。あくまで、出資する先が「1人の選手」という感じです。

黒崎:この関わり方で言うなら、サブさんは「選手個人のスポンサー」という表現が良いかもしれませんね。このスポンサードの方法は、普通のチームとスポンサーが結ぶ関係とはどう違うのでしょうか?広告が目的ではないのでしょうか?

サブ:そもそもスコットランドの下部リーグになると、兼業フットボーラーの方が多いですし、資金面でやり繰りの厳しいチームが多いんです。そういったチームの選手たちが使うユニフォームなどに対して、出資者を募っているという形です。

ホームとアウェイのユニホームに対してスポンサーを募ったり、チームによってはGKグローブやスパイクなどにも募集をしているところがあったりするんですよね。そういった試合に必要なものを揃えるための資金を工面する手段として、スポンサーを募っているクラブが多いです。

そして、出資してくれたスポンサー個人や団体などには、ホームページに名前を載せたり、シーズン終了後にその証として選手が着用していたユニフォームを提供したりしています。中には抱き合わせでシーズンチケットを販売するクラブもあるようですね。

黒崎:自分がチームの運営に関わっている、選手をダイレクトに応援できているように感じられそうですね。ずばり、この「選手個人のスポンサー」の楽しみ方はそこにあるのでしょうか?

サブ:スポンサーをしたかったり、マイナークラブのユニフォームが欲しいっていうのもあり……そのクラブの人たちとやり取りをしていると、現地に行けていた時の感覚を追体験するような味わいがあるんですよね。初めていくスタジアムに向かうような、ドキドキワクワク感っていうものを、感じられたんです。

自分が興味を持ったクラブに対して、相手も興味を持ってもらえる。やっぱり外国人のファンってだけで目立つので、相手も「なんか日本からコンタクトがあったぞ!」となるんです(笑)。

例えば、Jリーグなら 1万6千円ほどでユニフォームを買えますが、スコットランドでは同様の金額でスポンサーになれるうえにユニフォームも貰えるんですよね。なので、「私にとっては十分な価値が見出せる」という感じです。

footysab
@footysab
(´-`).。oO(個人スポンサーといっても年間1.5万程度のお手頃価格なんですけどね…シーズン終了後にユニフォームが貰えるらしく…)

(´-`).。oO(あれ、この試合ホーム扱いだからマッチデープログラム発行されて、そこにこのアカウント名も載るやつじゃん胸熱…)
footysab @footysab
自分が個人スポンサーしてる選手が所属する @AlloaAthleticFC がスコティッシュ杯でセルティックと対戦することに…! 大好きなクラブとの対戦だけでも嬉しいけど、古橋選手が出場したらもっと嬉しいな…☺️スポンサーしてるBoyd選手もセルティックユース出身🔥 @CelticFCJPN @Kyogo_Furuhashi https://t.co/IfWC50COK1
2021/11/30 08:11
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黒崎:なるほど……スポンサーになることで、遠い国でプレーする選手との絆を日本にいながら感じられそうですね。

サブ:それこそ、Win - Winな関係になれるのが楽しいところだと思いますね。長期的な視点で見たら、「100年以上も存続してきたクラブに自分の名前が刻まれる瞬間がある」って、すごい話じゃないですか。だから、そういった感慨深さを味わえる楽しみもあります。

それ以上に、自分がスポンサードしてみたスコットランドのアロア・アスレティックFCというクラブに対しては、感謝の思いもありました。自分にとっては原風景のようなサッカーを繰り広げるクラブの「ほんの僅かでもいいからその一助になれたら」という思いです。

黒崎:「選手個人のスポンサー」というのは、歴史の一部に加われてその源流も支えられる新しい楽しみ方なのかもしれないですね。本日は、貴重なお話をありがとうございました!

footysab
@footysab
この度スコットランド🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿2部、ダンファームリン・アスレチック @officialdafc の元ナイジェリア代表🇳🇬DFエフェ・アンブローズ選手の個人スポンサーになりました🏁

セルティック🍀で4連覇、北京五輪銀メダル、ブラジルW杯にも出場した経験豊富な大ベテランです。
dafc.co.uk/people.php?SID…

#DAFC #COYP
2022/03/24 22:06
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インタビュー・文:黒崎灯(@minMackem

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ディ アハト第61回「蹴球をめぐる冒険~footysab氏インタビュー~」、お楽しみいただけましたか?

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