あなたがアーセナルファンになるべき3つの理由
こんにちは、ディ アハト編集部です。本ニュースレターをお読みくださりありがとうございます。第15回は、プレミアリーグのアーセナルFCの魅力を紹介します。クラブ愛と熱量たっぷりの記事、ぜひお楽しみください!
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アーセナルFC。
言わずと知れたロンドンの古豪で、かつては名将アーセン・ヴェンゲルに率いられ、イングランド唯一の「リーグ無敗優勝」を達成したこともあるクラブだ。
150年の歴史を誇る「世界最古のサッカー大会」であるイングランドFA杯では、14回の最多優勝(2位はマンチェスター・ユナイテッドの12回)を記録している。
ただし、直近5年のリーグ戦の順位は5位、6位、5位、8位、8位とお世辞にも好調とはいえず、今季はついに25年ぶりに欧州コンペティション出場権なしという事態にまで陥った。しかも、今年はプレミアリーグ一本で戦うことになったにもかかわらず、開幕戦では昇格組のブレントフォード相手に敗北を喫するという不穏なスタートを切っている。
しかし、過去の遺産があるからと言ってしまえばそこまでかもしれないが、ピッチ上での混乱とは対照的に、今のところ日本英国を問わず、昨今の不調にもかかわらずアーセナルの人気が衰える兆しはない。
一度足を踏み入れたが最後、どれだけ連敗しても、リーグ順位が下降しても、もう引き返せなくなってしまうのがアーセナルの沼なのだ。
ではなぜアーセナルというサッカークラブはそこまでファンを惹きつけるのだろうか?その魅力を全力で語っていきたいと思う。この記事を読んで、アーセナルFCに興味を持っていただける方が1人でも居れば幸いだ。
◇理由その1:伸びしろしかない
いきなり「お前はいったい何を言っているんだ?」と思われるかもしれないが、「最近のアーセナルが不調で、中位に沈んでいる」というのはつまり今後の伸びしろが抜群、ということだ。
例えばあなたがバイエルン・ミュンヘンあるいはマンチェスター・シティのファンだと仮定してみよう。バイエルン・ミュンヘンは目下のところ国内リーグ9連覇中だし、マンチェスター・シティは直近の5年で3度のリーグ優勝を果たしている。今後さらに上を目指すとすればCL優勝やトレブル(3冠のこと、それすらもバイエルン・ミュンヘンは2019/20シーズンに達成している)ということになるだろう。
もちろん、常勝軍団を応援するということに魅力がないなどと言いたいわけではない。単に、アーセナルというチームのファンであることの魅力は優勝を祝うのとはまた違う所にある、というだけだ。
最近のアーセナルが不調であることは既に述べたが、これからクラブは守備を立て直し、攻撃を再構築し、ビルドアップの仕組みを整え、と課題は満載だ。リーグ上位進出というよりもむしろ、当面はまず国内6位以内に入り、ヨーロッパリーグ出場権を手に入れるのが目標だ。そしてその上で欧州コンペティションで資金を得つつ、4位に継続して入れるレベルのチームを構築、すべてがうまくいけば最終的にはリーグ優勝争い、そしてCL上位進出という所を目指していくことになるだろう。
例えるのであれば、FIFAのキャリアモードで英3部のクラブを選択し、プレミアリーグ優勝を目指すような気持ち、とでもいえばよいだろうか。アーセナルファンになるというのは、今後5年10年単位で苦しい時期も楽しい時期も含めてプロジェクトアーセナルの一員となる、ということなのだ。
あまりに楽観的過ぎると思われてしまうかもしれないが、もし5年後のアーセナルでユース出身のブカヨ・サカやスミスロウがチャンスを演出し、それを冷静に沈めるマルティネッリが20年ぶりのアーセナルのリーグ優勝をもたらす、なんていう場面が見られるとしたら・・・?
*イングランド代表でPKを外してしまったが、現地サポーターの多くはサカを温かくサポートしている。ライバルのトッテナムサポーターも、彼に大きな拍手を送った。
現状のアーセナルが(昨季リーズ・ユナイテッドと繰り広げたように)ひりつくような中位争いを繰り広げ、開幕戦のように昇格組のブレントフォードのロングスローに沈むチームだとしても、上のような光景が脳裏をかすめるだけで、今のアーセナルを見るのが非常に魅力的に感じられるというものだ。
◇理由その2:有望な若手が数多く揃う
上で述べたような今後のアーセナルが上を向いていくという予想には、まったく根拠がないわけではない。今のアーセナルには有望な若手が多く揃い、今後キャリアのピークを迎えるであろう選手が非常に多く在籍している。
もともとアーセナルの青田買いや選手育成には定評があり、若手にチャンスを与えることを信条としていた名伯楽アーセン・ヴェンゲルのもと、ユースの選手も積極的に登用し、多くの有望な選手を育ててきた伝統のあるクラブだ。
ただし、これは2010年代前半ごろまでの話で、2010年代後半には即戦力の補強もかなり行うようになった。アーセン・ヴェンゲル時代終盤から最近にかけてはむしろ場当たり的とすらいえる応急処置的なベテランの獲得も増え、若手色は薄まったように見えた。しかし、クラブの見立てとは裏腹に、即戦力を揃えてCL出場権を取り戻すという戦略はうまくいかず、最終的にはEL出場権すらも失ってしまったため、再び若手を中心としたチームの再建に舵を切らざるを得なくなっている、というのがアーセナルの現状だ。
それが特に色濃く表れているのがこの夏の補強で、サンビ・ロコンガ、ヌーノ・タヴァレスと英国外からやってきた有望株である21歳の二人に加えてブライトンからやってきた期待の新CBベン・ホワイトもまだ23歳だ。攻撃的MFの補強としては昨季ローンで在籍していたウーデゴール獲得を目指していると報じられており、彼もまだ22歳と非常に若い。
ポテンシャルに間違いないとはいえ、神童と呼ばれた10代のころの評判からすると少し燻ぶっている印象のウーデゴール獲得は(実現すれば)まさにかつてのアーセナルを彷彿とさせるものがある。
これらの選手たちに加え、既にチームの絶対的な主力となっており、次期キャプテンの呼び声高い左サイドバックのティアニーですらまだ24歳だし、左CBのガブリエルは23歳、ローンに出ているサリバもいる。
ここにユース育ちの新進気鋭のイングランドのスター、ブカヨ・サカに昨季救世主となったスミスロウ、エンケティアやメイトランド=ナイルズといったユース上がりの選手たちを加えれば、移籍の噂が出ている24歳以下の選手たちだけで即戦力級のスタメンが組めてしまうほどだ。
🔸 Folarin Balogun
🔸 Miguel Azeez
Three young Arsenal stars poised to shine this season
✍️ @sr_collings
bit.ly/3lVqDYw Three young Arsenal stars poised to shine this season Ahead of the new Premier League season, we look at three Ars bit.ly
実際に開幕戦のブレントフォード戦のアーセナルの先発メンバーの平均年齢は、24.6歳と非常に若かった。
アーセナルの現在関選手+移籍の噂が出た24歳以下の選手で組んだラインナップ
ある程度必要性に駆られて、ということではあるにせよ、これを見るにアーセン・ベンゲル時代から根付くクラブ哲学はいまだに失われていないようだ。
また、他の若手を揃えたクラブと大きく異なるのは監督のミケル・アルテタですらまだ39歳とプレミアリーグで指揮を執る監督のうちでは最年少で、監督自身にも大いに成長の余地があるという点だろうか。
実際にアルテタのサッカーは、監督就任当初に展開したメイトランド=ナイルズやエジルを起用しての4-2-3-1、そこから3バックへの移行を経て昨季の後半はもう一度4バックに戻してスミスロウとウーデゴールのダブルトップ下体制ともいうべきシステム、と大きな変遷を経ている。まだまだこれこそがアルテタの/アーセナルのやり方である、という絶対的な形はなく、今後もある程度試行錯誤は続いていくはずだ。
アーセナルは選手の成長だけではなく、監督の成長までもを見守っていけるクラブなのである。
◇理由その3:好不調の波が激しくロマンがある
上記2つはどちらかというと将来を見据えた話だったが、もちろんアーセナルは現在進行形で応援していて楽しいクラブだ。
チャンピオンズリーグでヨーロッパのトップクラブに粉砕されたかと思うと次の試合では前評判を覆しての勝利、最終結果では肉薄するというのは昔からのアーセナルのお家芸ではあったが、かつてのアーセナルと今のアーセナルで共通して言えるのは、「良い時のアーセナルはどんなチームにも勝てる可能性があるが、悪い時のアーセナルはどんなチームにも負ける可能性がある」という点だろう。(もう1つ「誰もがあきらめかけた時点で本気を出す」も共通しているかもしれない)
例えば19/20シーズンのアーセナルはシーズン終盤にブライトンやアストン・ヴィラに敗れリーグ戦で大失速した一方でリバプールを撃破し、FA杯ではマンチェスター・シティとチェルシーを破って優勝を達成した。
昨季も序盤はヴィラ・ウルブズ・バーンリー・エヴァートン・トッテナムへの敗北を含む7戦勝ち無しと絶不調に陥ったかと思えば、突然ユースアカデミー卒のスミスロウが彗星のように台頭してチェルシー戦での勝利をもたらした。
さらにその後はウナイ・エメリ前アーセナル監督率いるビジャレアル相手に切ない試合を展開し、EL準決勝敗退の憂き目にあったかと思えば最終的にCL優勝を果たすことになるトゥヘル率いるチェルシーの連勝を国内で止めて見せたりと、とにかく浮き沈みが激しいので、アーセナルを見ていて退屈することは無いはずだ。
もしかするとこれは監督も含め若手が多いという点と関連があるのかもしれないし、逆に一貫して結果を残せないからこそ総合的な成績では中位に沈んでいる、というのもあるだろう。だがそれでも、こういった経緯があるからこそ、どんな強敵と対峙しても「もしかすると今日はアーセナルの日かもしれない」と希望を抱けてしまう、ロマンのあるチームなのだ。
もちろんそれを裏返すと、ホームアウェイ関係なく、仮に降格圏に沈むチームが対戦相手だったとしても、自滅的な失点から敗北できてしまうチームでもあるのでアーセナルファンはいつだって油断はできない、ということでもあるのだが。
このように、ジェットコースターのような浮き沈みをアーセナルファンは体験することになるのだ。とはいえ、安心できる試合がないというのも、それはそれで日々の試合観戦のスパイスになってくれる。
◇終わりに
何よりもまず最初に、この記事をここまで読んでくれたあなたに、心の底からの感謝を伝えたい。もう1つ伝えたいのは、この記事を最後まで読み切った時点でもうあなたは半分アーセナルファンのようなものだということだ。
そして、そんなあなたに良いニュースがある。ちょうど今週末はアーセナルとチェルシーのビッグゲームが控えているのだ。
*チェルシーは、ロシアW杯で日本代表を苦しめたベルギー代表FWロメル・ルカクがインテルから加入。アーセナル戦で、スターティングメンバー濃厚との報道だ。
もちろん別に必ずしもこの試合でなくても良いが、せっかくなので一度アーセナルの試合を観てみるのはいかがだろうか?百聞は一見に如かずというし、ここまで書かれていたことがよりダイレクトに伝わってくること請け合いである。
さらに、もしSNSあるいはオフラインの知り合いなどでアーセナルファンの方が1人でもいるのであれば、ぜひ「ちょっとアーセナルに興味があるんだけど……」と会話をしてみて欲しい。皆が口を揃えてアーセナルの魅力を熱弁してくれるに違いない。
そうなればもう、日本中世界中のどこにいたとしても、あなたはもうエミレーツスタジアムにいるようなもので、耳を澄ませば『We love you Arsenal, we do!』のチャントが聞こえてくるはずだ。
北ロンドンへの扉はいつだってあなたの心の中の中にあるし、その扉は常に開かれている。勇気をもって、一歩を踏み出してみて欲しい。
文:山中拓磨(@gern3137)
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