ワールドカップ決勝から考える、今後のSB像

2026年北中米W杯の戦いを現役Jリーガーはどう見たのか?今回は、ヴィッセル神戸に所属する髙橋壱晟選手による記事をお届け。自身の主戦場であるサイドバック(SB)の視点から大会を振り返り、今後求められるSBの姿や目指したい選手像を紐解いていきます。
ディ アハト編集部 2026.09.21
誰でも

こんにちは、ディ アハト編集部です。本ニュースレターをお読みくださりありがとうございます。第109回は、 ヴィッセル神戸で活躍するJリーガー・髙橋壱晟選手によるサイドバック論をお届け!現役のプロとして、2026年北中米W杯をどのように見たのでしょうか。ぜひお楽しみください!

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 皆さん、こんにちは。はじめまして。ヴィッセル神戸に所属する髙橋壱晟です。

 今回は「JAPAN ANALYZING FESTIVAL'26(※)」に参加させていただき、ありがとうございます。参加者の皆さんの投稿の早さと緻密な分析を目の当たりにして、とんでもないところに参加してしまったと恐縮し、なかなか書き始められずにおりました。できる限り多くの試合を見ようと試みましたが本当に大変で、普段から分析されている方々の苦労が身に染みた次第です。

※JAPAN ANALYZING FESTIVAL'26:2026年北中米W杯を対象に、70名を超える有志参加者が大会にまつわる分析記事を執筆・発信する連動企画

Windtosh's Cantina Project
@W_C_Project
ワールドカップ連動企画<br />
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『JAPAN ANALYZING FESTIVAL &#039;26』<br />
<br />
いよいよ、出演者の方々の発表です!<br />
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#JAPANANALYZINGFESTIVAL<br />
#ワールドカップ
2026/06/04 18:02
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 今回は、サイドバック(以下、SB)としてプレーする私の目線でW杯決勝を紐解きながら、今後求められるSB像について考えていこうと思います。

 最初に、決勝戦についての感想からスタートしていきましょう。スペインvsアルゼンチンの決勝はスペインが圧倒的に試合を支配し、1-0という結果になりました。スペインのシュート数20本に対し、アルゼンチンは2本。そのスタッツだけを見るとスペインの完勝のようですが、アルゼンチンの2本のシュート、そして終盤のチャンスシーンは得点に至ってもおかしくないものでした。

FIFA World Cup
@FIFAWorldCup
Spain have added another star above their crest 🌟<br />
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#FIFAWorldCup
2026/07/20 07:08
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Opta Analyst
@OptaAnalyst
Spain 1-0 Argentina<br />
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One team came out to play football in the World Cup final, and that team eventually won after extra-time.<br />
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Spain are the champions.
2026/07/20 07:05
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 アルゼンチンは、そういう難しい試合をモノにできる力があるチームです。最後のそのシュートで1点を奪い、PK戦で勝利していれば世界チャンピオンになれたと考えると、怖さを感じます。掴みどころがないサッカーをしていても、最後まで勝利を狙ってくるアルゼンチン。このチームを高い集中力で封じたスペインが素晴らしかったです。

 また、駆け引きの一つであるとはいえ、ボールのないところでのラフプレーや相手へのタックルは目に余ることもありました。しかし、毅然とした振る舞いで淡々と自分たちのスタイルを貫いたスペインの選手たちが本当にカッコよかったです。

◇両チームのSBを見て

 私自身がSBとしてプレーしていることもあり、決勝に出場していた5人のSBに注目して見ていました。アルゼンチンの3人(モンティエル選手、タグリアフィコ選手、モリーナ選手) はどうしてもその場しのぎの即興プレーが多く、スペインの守備のボールの奪いどころになるなど、攻守両面で苦し紛れのプレーが目立ちました。そのため、あまり参考にはならなかったのが正直な感想です。

 相手のプレッシャーを巧みに回避する「ドリブルで変化をつけられる能力」や、サイドでロングボールのターゲットになれるオランダ代表のダンフリース選手のようなタイプがSBのポジションにいたら、さらにカオスさが増し、アルゼンチンは相手として一層掴みどころのないチームになったのではないかと思います。

 スペインの両SB、ペドロ・ポロ選手とククレジャ選手はどちらも総合的な能力値が高く、タフに戦えます。強力なウインガーたちとのマッチアップに加えて、ウイングのヤマル選手とバエナ選手が孤立しないように、後方でビルドアップのサポートとポケットを突くランニングを繰り返していました。特にウイングの選手がサイドに開いてボールを受けたとき、相手SBとCBの間のスペースを狙ったインナーラップが多かった印象です。

 守備側のSBとしては、対峙するスペインのウイングの選手にプレッシャーをかけた時に、どうしても手薄になってしまう穴を使われている感覚になるでしょう。この穴となるスペースが生じることを嫌がってウイングの選手へのプレッシャーを躊躇すると、スピードに乗ったドリブルを仕掛けながら、ラストパスも供給できるヤマル選手やバエナ選手が自由にプレーできてしまうジレンマが生まれます。

 実際にフランスとの準決勝では、ヤマル選手に相手のSBが対応することで生じた「相手CBとSBのギャップへのランニング」でボールを受けたペドロ・ポロ選手が、自らゴールを奪っています。試合を通してパフォーマンスが安定しているのでチームとして計算もできますし 、信頼できる両SBでした。

◇今後のSB像を考える

 決勝戦のスペインvsアルゼンチンでは両チームの色が明確で、そこに必要な選手がSBに置かれている印象でした。ここからはW杯全体も踏まえて、今後のSBに求められる能力と、これから自分自身が目指していくべきSB像を考えてみたいと思います。

 まず絶対条件と言えるものが、「アスリート能力の高さ」であるのは間違いなさそうです。 ここでいうアスリート能力とは、スピード・ジャンプ力・持久力・アジリティ能力・パワーなどの総合的なフィジカル能力を指します。これは世界のトップレベルで戦っていく上で、譲れない部分でしょう。

 アスリート能力が秀でているほど、チームの戦術的に組み込みやすく、試合に出場する確率が上がるはずです。たとえば守備をしていて、判断のミスがあったとしてもカバーが効くアスリート能力があることで、相手からの狙い所になるリスクを減らせます。現実として、アスリート能力の高さだけで、問題を解決できる場合も多いです。

 実際にドイツの試合では、キミッヒ選手のサイドは守備面でかなり苦労しており、このように守備の局面で狙われてしまうとSBとしては厳しいと言えます。そして、この「圧倒的なアスリート能力」には+αが求められます。+α部分が多ければ多いほど、良い選手になるのです。

 守備面で穴になってしまうという話をしましたが、キミッヒ選手はミスが少なく、正確な判断でビルドアップ局面を助けることができます。ククレジャ選手のように身体を投げ出してピンチを救うなど、熱い姿勢でチームを引っ張っていける選手もいます。これからのSBは、“なんでもできる選手が求められていくでしょう。

 色々な+αがありますが、私は特にゴールに関与できる能力を持っているSBの需要がさらに高くなってくると感じています。つまりクロスやシュート、ラストパスといったアタッキングサードでクオリティを発揮できる選手です。

 世界最高のSBの1人と考えられているモロッコのハキミ選手はまさに、アスリート能力に加えてゴール関与力の高い選手で、その破壊力は群を抜いています。長い距離のスプリントで相手の背後のスペースへ飛び出し、ゴールを奪っていく。ハキミ選手は通常DFラインにいるはずの選手ですから、基本的にはSHの選手がマークについている場合が多いです。DFラインから前線のスペースへのハキミ選手のランニングに対して、SHの選手がそのままマークについて行けと言うのは、距離も長く、後から反応するリアクションでの守備になるため、現実的ではない要求です。

 つまり、ハキミ選手が最後尾からランニングしてくると、それに対応しているDFラインの選手たちは普段よりも対応しなければいけない相手の人数が増えるので、どの相手をマークしてどこのスペースを守れば良いのかの判断が難しくなるのです。また、一度なら対応できても、ハキミ選手はそのオフザボールのランニングを何度も何度も繰り返すことができるスタミナを兼ね備えているため、チャンスを作り続けられる訳です。

 私がW杯で見た選手の中では、現在ガラタサライSKでプレーしているコートジボワールの右SB、ウィルフリード・シンゴ選手も190cmの身長と短距離走選手のようなスプリント能力を持っており、規格外のアスリート能力に驚かされました。今後、こういった+αの強みが増えてくることで、ステップアップが期待できるのではないでしょうか。

Galatasaray SK
@GalatasaraySK
🧿 Yeni transferimiz Wilfried Singo, Galatasaray formasıyla ilk resmi maçına çıktı. 👏<br />
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#GSvRİZ
2025/08/31 06:49
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◇自身はどのようなSB像を目指すか?

 選手の目線からワールドカップを観戦してきましたが、 これからの自分がどうなっていきたいか、どういう取り組みをしていきたいか、ということのヒントも得られました。 

 まずは、前述したアスリート能力の向上です。私自身、執筆時点で28歳と、プロ選手としては若いとは言えません。ですが、世界で活躍する選手たちが年齢を重ねてもトップコンディションでプレーしている様子を見ると、プロのサッカー選手である以上、その部分には向き合い続けなくてはと思います。

 そして、現代では個人としてアスリート能力が高く、局面のバトルで勝てる選手がピッチで求められる傾向がある一方、チームとして個人を上回るために「より規律のある守備とより複雑な流動性のある攻撃」を志向するチームが増えるのではないかと予想します。

 複雑で流動性のある攻撃をするためには、多くの選手がボールに絡む仕組みができ、“ポジションの概念があるようでないサッカーになっていくでしょう。現在のパリ・サンジェルマンFCは、そのようなサッカーを見せています。もちろん、チームとして決まり事やロジックがあるのかもしれませんが、試合を見ていてもそれがどういうものかすぐには見つけられません。

 そういったサッカーをプレーする上で、できることが少なかったり、相手に弱点と捉えられてしまったりするような選手になるのは避けたいです。私が今からたった1人で試合を破壊できるほどの能力を手に入れることは現実的ではなく、よりチームの中で上手く味方とつながってプレーする術を身につける必要があると思っています。

 なので、自分の強みであると思っているビルドアップ能力をさらに伸ばして、ボール保持の局面で相手に捕まらずにプレーできるような「サッカーIQ」とスキルを磨いていこうと考えていました。

 しかし、ヴィッセル神戸に来てからその考えを見直すようになりました。ヴィッセル神戸は私の考えていたスタイルではないからです。(チーム事情もあるため、どういったサッカーをしているか具体的な部分は話すことができません。ぜひ、スタジアムに観戦に来て確かめてください!)

 サッカーはチームスポーツです。チームそれぞれのスタイルがあるため、チームの求めることをしない選手は試合には出場できません。ですから、考え方の一つとして、先ほど私が求めていきたいことを頭に入れておいた上で、今はヴィッセル神戸のスタイルにチャレンジしていきたいです。新たなチャレンジに必死に取り組んだ結果が、未知のステージへの扉を切り開けると信じて頑張ります。

 今回こうした機会をいただいて、色々な方の分析を読んだり自分で考えたりすることで、さらにサッカーに対しての捉え方が広がった気がします。また参加者の皆さんと交流できるのを楽しみにしていますし、色々なことを学びたいと思っているので、今後ともよろしくお願いいたします。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ヴィッセル神戸
@visselkobe
🎥🅖🅞🅐🅛🎥<br />
クロスに合わせたヘディングシュートは一度弾かれるも、執念で押し込んだ髙橋選手がJ1初ゴールを記録!⚽<br />
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ハイライトは @DAZN_JPN 📽️<br />
視聴は⏩<a href='https://www.dazn.com/ja-JP/competitor/Competitor:bbt5nqwufsne7r0zfa6pvpmfa?scid=su_16683' target='_blank' rel='nofollow noindex noreferrer'>r10.to/hFaUVt</a><br />
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#visselkobe #ヴィッセル神戸
2026/09/02 21:12
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文:髙橋壱晟(@issei0420soccer

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