集え!2025/26プレミアリーグ・昇格組!サポーターに聞く、3クラブの道のりと展望
こんにちは、ディ アハト編集部です。本ニュースレターをお読みくださりありがとうございます。第107回は、 2025/26シーズンのプレミアリーグ昇格組3クラブの特集をお届け!各クラブのサポーターたちを招いた座談会企画をベースにした本記事、ぜひお楽しみください!
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2025/26シーズンのプレミアリーグは早くも序盤戦を消化し、冬の中盤戦に突入。各チームの出足から徐々にそれぞれのカラーが見え始めている。今回は、リーグ開幕前に開催した座談会企画を元にサンダーランドAFC、バーンリーFC、リーズ・ユナイテッドFCの昇格組3クラブをクローズアップ。
8月頭に実施したこのイベントは、プレミアリーグ開幕直前を盛り上げる企画として、昇格3クラブのファンが集まり各チームの魅力や今季の展望を語ったものだ。各クラブの個性とファンの情熱が伝わると同時に、プレミアリーグでの残留を目指す厳しい戦いを予期させた。熱心なサポーター、EFLチャンピオンシップに精通するファンとの個性豊かなトークを振り返り、シーズン中盤戦に向けた明るい期待感、過去の成功例を胸に、3クラブがどのような旋風を巻き起こすのかぜひ注目していきたい。
【スピーカー】
・リーズ・ユナイテッドFCサポーター/じお(@giovannikatoman)
リーズを追いかけ四半世紀。酸いも甘いも味わった先で掴んだプレミア再挑戦。サポーターズグループ“ジャパン・ホワイツ”を率いて、現地にも負けない熱量で仲間たちと応援中。
・バーンリーFCサポーター/ハリーポッツOgura(@BUR_442)
ショーン・ダイチに導かれ、ターフ・ムーアでの観戦やバーンリーを訪れた経験をもつ日本屈指のクラレッツ・サポーター。YouTubeやSNSを通じてクラブの魅力を発信中。キーワードは“泥臭さ”。
・サンダーランドAFCサポーター/ひじり(@hijiyamagasafc)
EFLリーグ1時代、くすぶっていた苦節の時期に何故かサンダーランドファンになってしまった。ようやく到達した念願のプレミアリーグ。日本のサンダーランド・コミュニティを広げていきたい、と意欲十分。
・EFLスペシャルアドバイザー/死守bot(@BOINGxxBAGGIES)
EFLの魅力、すなわちイングランドフットボールの奥深さをユーモラスな切り口で発信する当企画に欠かせないアドバイザー。応援するウェストブロムウィッチ・アルビオンFCの昇格特集を、いつか実施することが筆者の楽しみ。
【司会】
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BF(@bf_goodison)
企画主催&本記事の執筆者。エバートンFCファン。
◇各チームの昇格までの道のり
サンダーランド:9年ぶりのプレミア復帰を果たす
サンダーランドサポーターのひじり氏は、昨シーズンのリーグ最終盤、5連敗から挑んだプレーオフを勝ち抜いて獲得したプレミアリーグ復帰を「不思議な力」と表現した。サンダーランドは2016/17シーズンにプレミアリーグから降格、続く2017/18シーズンの連続降格から長い低迷期を経験。Netflixのドキュメンタリー「サンダーランドは我が人生」で知られる苦難の時期を経て、会長キリル・ルイ・ドレフュス氏とスポーツ・ディレクターのクリスティアン・スピークマン氏の就任が大きな転機となった。
翌シーズンにチャンピオンシップへ昇格すると、2022/23シーズンにチャンピオンシップ6位でプレーオフ進出。しかしルートン・タウンFCに敗れ、2023/24シーズンは16位に沈むが、続く2024/25シーズンは開幕4連勝で首位を走る好スタート。終盤の5連敗(5試合で1得点)で4位フィニッシュと上位争いで足踏みするも、プレーオフでシェフィールド・ユナイテッドFCを下して見事昇格を勝ち取った。
死守bot氏は「平均年齢22.4歳の若いチーム。勢いと成長力でプレーオフを勝ち抜きました」と、若さ溢れるチームの魅力を強調した。
死守bot:「勢いがあり、自信を持って戦える。ヨーロッパでも1、2を争う若いチームでした。前半と後半で顔つきが変わっていたり、成長を感じられましたね。10代の選手が凛々しく戦う姿を見られました」
バーンリー:鉄壁の守備網で生まれ変わり、1年ぶりに復帰
バーンリーサポーターのハリーポッツOgura氏(以下、Ogura氏)は、2023/24シーズンの降格から1年での復帰を振り返る。前監督ヴィンセント・コンパニーのFCバイエルン・ミュンヘン移籍にともない、スコット・パーカーが新監督に就任。主力選手(ベルゲ、オドベール、オシェイ)などの流出で苦しいスタートだったが、パーカーの大胆な再編でチームは一変した。
アンソニーやヴォラルら経験豊富な選手を補強し、序盤の得点力不足を克服した。特にMFのブラウンヒルが覚醒し、得点を量産。さらに、守備の要であるGKトラフォードとCBコンビ(イーガン・ライリー、エスティーブ)の活躍で33試合無敗、30試合クリーンシート、わずか16失点という驚異的な守備力を発揮した。クリスマス期間のシェフィールド・ユナイテッド戦での勝利が自動昇格への転機となり、2位でフィナーレを迎えた。
「16失点はEFL史上稀な記録。過去のモウリーニョ・チェルシーに匹敵する」と、死守bot氏は称賛。Ogura氏は「ショーン・ダイチ時代を彷彿とさせる、全員守備の意識が戻ってきました」と自信を見せた。
じお:「昇格レースのバーンリーは非常に固く、先制されても逆転勝ちを繰り返し、絶対に負けない印象が強かったです。諦めや恐怖心すら抱いていましたね……。取りこぼしがなく、こちらが辛く感じるほど、本当に素晴らしいチームでしたよ」
リーズ・ユナイテッド:逆転劇の積み重ねで圧巻の優勝
リーズサポーターのじお氏は、2023/24シーズンのプレーオフ決勝敗退後、苦境から這い上がったシーズンを語る。主力選手の大量流出や財政難の報道の中、不安なスタートとなったが、日本代表・田中碧の獲得や高額補強で戦力を再構築。シーズン中盤にはキャプテンのアンパドゥとグルエフの長期離脱で危機を迎えるが、田中をアンカーに据え、ロスウェルを同時起用する戦術が大当たりした。
シーズン後半にはトッテナム・ホットスパーFCからレンタル加入のソロモンが活躍し、試合終了間際の逆転劇を連発。終盤の優勝争いでシェフィールド・ユナイテッドの失速とバーンリーの好アシストにも救われ、映えある100ポイント超えでチャンピオンシップ優勝を勝ち取った。
じお氏からは「運もあった」と謙虚なコメント。「歴史的にプレーオフが苦手なクラブ。自動昇格できたのはラッキーでした」と、田中やローンで加入したイスラエル代表・ソロモンの活躍を称えた。死守bot氏は「ファルケ監督2年目の完成度が見えましたね。チャンピオンシップでは敵なしでした」と高く評価した。
EFLスペシャルアドバイザー・死守botの講評:歴史的強さの昇格組へ
「EFL史上に残る快挙」──死守bot氏は、リーズとバーンリーの100ポイント超えをそう称し、サンダーランドの若さと野心も高く評価。過去2年の昇格組(バーンリー、シェフィールド・ユナイテッド、ルートン、レスター・シティFC、イプスウィッチ・タウンFC、サウサンプトンFC)が全滅した厳しい現実が立ちはだかる中、今季の3クラブには過去のフラムFCやノッティンガム・フォレストFCのような成功例の仲間入りに希望を託した。
◇チーム紹介と展望
ここからは、3クラブのチーム紹介と展望を、それぞれのサポーター目線で熱く語っていただいた。
サンダーランド:若手中心の勢いと手堅い大型補強で挑む
ひじり:「サンダーランドの監督はフランス人のレジス・ル・ブリ。2年目でプレミアリーグに挑みます。フランス・FCロリアンで育成に定評のあった監督で、フランス人オーナーの影響か、チームにはフランスにルーツを持つ選手やスタッフが多いです。
戦術は4-3-2-1や4-3-3、4-4-2など4バックを基盤に、柔軟に切り替えます。後ろからつなぐこともあれば、ロングボールで速攻も。サイド攻撃が得意で、ハイプレスからのカウンターが強み。ただ、ポゼッション時のファイナルサードでのインパクト不足や、ボールを持たれると脆い面が課題です。プレーオフでは支配率低めでも、速攻やセットプレーで勝ち進みました。プレミアでもカウンターは通用すると思いますが、ポゼッションの課題が心配ですね」
その心配とは裏腹に、サンダーランドは今季15試合を消化して6勝5分4敗の好成績を収め、第9節では強豪チェルシーFCを逆転勝利で下し、アーセナルFCやリバプールFCと互角のバトルを演じた。ビッグクラブでの経験豊富な選手(ジャカ、ムキエレなど)の補強に加え、20代前半の若手(ブロビー、タルビ、サディキ、ルーフスなど)が中心となって粘り強さと団結力を発揮している。
監督のル・ブリは隠れた才能を発掘する手腕で知られ、“新たなヴェンゲル”と喩えられるチームの構築者として今季序盤の躍進を牽引。プレミアで長く戦うための長期プロジェクトとしても注目を集めている。
攻撃面では、ASローマから完全移籍したル・フェーが手綱を握る。足元の技術が高く、鋭いスルーパスを放つことができ、チャンピオンシップでは抜群のクオリティだった。
加えて、クラブに長く在籍するレジェンド、オナイエンの存在を挙げておきたいと語るひじり氏。多くの補強によりレギュラーからは外れているが、情熱的なファイターで、ファンに愛されるセンターバックだ。若手の注目は18歳のリグ。昨季のチャンピオンシップでは出場時間が多く、中盤の柱だった。ジョーブ・ベリンガムが移籍したが、新加入のサディキやディアッラといったライバルが台頭し、熾烈なポジション争いが生まれている。MFニールもプレミアクラブから熱視線を浴びた中堅だ。
目標は「とにかく残留」と、ひじり氏。9シーズンぶりのプレミア復帰で、ブランクの長さが未知数な部分もあるが、それが逆にプラスに働く可能性もある、とポジティブだ。若手中心のチームで、勢いに乗ったら止められないポテンシャルがあり、新加入選手や既存選手の予期せぬ成長に期待は大きい。うまく噛み合えばトップハーフ争いも可能で、残留できれば次の飛躍が待っているはず。
不安要素である他クラブとの「格差」だが、予算的に補強の余地があり、選手の成長を楽しみながら戦える点は魅力。監督のル・ブリについては、昨シーズン終盤の5連敗で議論があったものの、プレーオフ勝利で信頼を回復した。オーナーが28歳という若さで、確固たるビジョンを持っているのもワクワクできるポイントだろう。
熱狂的なサポーターでホームのスタジアム・オブ・ライトを埋め尽くす雰囲気はプレミアでも屈指の空間となる。開幕戦でサプライズを巻き起こした勝利(vsウェストハム・ユナイテッドFC、3-0)を始め、ニューカッスル・ユナイテッドFCとのウェアタイン・ダービー復活、街のプライドをかけた熱い戦いは必見だ。
バーンリー:守備重視の戦術で残留を目指す
Ogura氏:「監督はスコット・パーカー。外からの評判は微妙でしたが、選手からの信頼は厚いです。昨季キャプテンのブラウンヒルやベテランのバーンズが『最高の監督』と称賛するほどです。守備重視で、リード時は5バックでブロックを敷き、ボールを持たない戦術が特徴的ですね。守備意識はチーム全体に浸透しています。
課題は、トラフォードやイーガン・ライリーの退団の穴埋めですね。ウォーカーの加入は驚きで、プレシーズンでもトップレベルの実力を見せました。バーンズ(1年契約延長)は、ドレッシングルームでのリーダーシップにも期待しています。そのウォーカーの加入が最大の目玉で、昨季の主力が退団し、プラマイゼロ以下な状況といえます。ローン選手(アンソニー、フレミング、エドワーズなど)のチーム残留はプラスですが、さらなる補強が必要と感じます」
Ogura氏が語ったように、DFウォーカーの加入は今夏の移籍市場におけるサプライズ。トップレベルの経験と勝者のメンタリティを植え付けられるか。ベテランのバーンズが1年契約延長したことも夏の大きなニュース。ドレッシングルームを含めチームを引っ張る存在に期待がかかる。
トラフォード、イーガン・ライリー、ブラウンヒルといった攻守の背骨を抜かれ補強急務となったが、それでも「昨季の戦力を多く残せたのはプラスと捉えている」とOgura氏は前向きだった。特に22歳の左利きセンターバックであるエスティーブは守備範囲が広く、時折繰り出す縦パスも魅力。数多の噂が広がったが、5年の契約延長となりファンは安堵した。中盤の底でタクトを振るうカレンは29歳のキャプテン。機転の効いたパスコース作りと組み立てで地味ながらも欠かせない存在として重要な役割を担う。攻撃の核はWGのアンソニー。チーム屈指のボールキャリーは、守備重視のカウンターで欠かせないタスクを担っている。
死守bot:「バーンリーの中でオフェンスは『この選手が頑張らないと』という存在が一人いて、それがジェイドン・アンソニーですね。プログレッシブ・キャリー(相手陣内でのボールの前進回数)がチャンピオンシップ全体の2位。プログレッシブ・レシーブ(自陣から相手陣内でボールを受ける回数)も全体の2位と、すごい数字です。バーンリーのオフェンスを引っ張ってきた選手だとはっきりわかりますよね。彼をどう活かすのか、もしくは彼に代わる選手が出てくるのか。注目して見ていただければと思います」
Ogura氏もひじり氏同様に、目標として残留を掲げる。昇格組全滅の流れを作ってしまった一員として、それを止める意欲に満ち溢れている印象を受けた。コンパニー時代とは違い、パーカー監督の下では守備がストロングポイント。ゼロで抑えれば勝てる、という泥臭いスタイルに期待がかかる。不調時のモチベーション低下が不安だが、自身の現地観戦の経験からスタジアムでの雰囲気を思い出し、「サポーターと選手の諦めない姿勢がカギになります」と力強く語った。
リーズ・ユナイテッド:選手の質で勝負
じお氏:「監督のダニエル・ファルケは、選手のマネジメント・人材管理の鬼と言うほど素晴らしい面もありますが、戦術は……正直『無策』に見えます(笑)。選手固定、交代遅めで、ファルケボールと呼ばれるポゼッションフットボールは『ただ回してるだけ』感も否めません。
現地サポーターも『勝っているから応援するけど、ワクワクはしない』との評価です。チャンピオンシップでは選手の質で圧倒しましたが、プレミアレベルでは戦術変更が必要かもしれませんね。守備は個人任せで、セットプレーも狙われているので、補強でゴールキーパー、センターバック、サイドバック、守備的MFを190cm級の屈強な選手で固めています。一方、攻撃のタレント補強も必要と感じています」
同じくリーズも、やはり残留が目標。じお氏は16位で余裕を持って残留できれば十分、という現実的な視点を展開した。スカッドの質=既存の選手と新加入選手のハイブリッドがカギと踏まえた上で、監督の信頼性が微妙との見解だ。前回プレミアで挑戦したノリッジ・シティFC時代の印象と実績もあり、「10試合以内で勝ち点10取れなければクビ」という厳しい見方もあったようだが、現在はそのラインをクリアし降格圏から脱したことはプラスに捉えたい(2025年12月7日時点では16位に)。
サポーターとエランド・ロードの雰囲気は相変わらず魅力的な空間。対戦相手が「やりたくない」と思うほどの盛り上がりで、国内トップレベルのクラブたちと渡り合う姿が期待される。じお氏は「上位チームに勝ち点を分けてもらいたい」と冗談交じりに語ってくれたが、昇格組としてリーグをかき回す存在になり得るだろう。
“プレミア仕様”の高さやタフネスさを兼ね備えた新加入のGKペリ、FWカルヴァート=ルーウィン、MFロングスタッフ、LBグドムンドソン、CBビヨル、FWヌメチャなどが新たな風を送り込む一方で、チーム随一のクリエイティブな力を発揮する田中がプレミアでどこまで通用するかにも期待が寄せられる。チェルシーFC戦での見事なミドルシュート、リバプールFC戦での値千金弾で存在感は高まるばかりだ。その田中と「仲の良い姿が印象的」と、じお氏が挙げたアタッカーの主軸であるFWニョントが序盤戦から負傷離脱するアクシデントに見舞われたが、新加入のWGオカフォーがインパクトを残し、ドイツから加入したMFシュタッハは田中と異なるタイプの魅力を放ちつつ、レギュラー争いを挑み主力として定着している。田中がスターティングメンバーに定着し、質の底上げでチャンピオンシップでの成功をアップグレードすることで、諦めずにトップリーグで戦ってほしい。
死守bot氏:「サンダーランドは若手主体で変わり、リーズは変わらず質で押し切れるか、バーンリーは主力の放出もありプレミアレベルでは守備の再構築が必要。それぞれプレミアの理不尽な質の差に対応できるか、各チームの進化が楽しみですね。昇格チームのハイプレスはプレミアレベルでは外されがちで、リーズは組織的守備の強化が急務。サンダーランドとリーズの交代の少なさは、プレミアの舞台でどう変わるか注目です」
昇格組の厳しい現実と、残留の重要性
プレミアリーグでは、最近の2シーズンで昇格組がすべて降格する厳しい状況が続いている。これをファンたちはビッグ6ならぬ「ビッグ17」とし、固定化されたリーグ構造として、懸念を抱く。プレミアとEFLの格差が広がるとリーグ全体がつまらなくなる、との声が共通しているのも事実だ。だからこそ、昇格組の目標は一貫して“残留”である。ただし、うまく噛み合えばトップハーフ争いも夢ではない……という楽観的な展望も各チーム事情の中に垣間見えた。
◇昇格組がプレミアを面白くする!
3チームのサポーター共通の意気込みは「残留してリーグの固定化を止める」こと。若手の成長、泥臭さ、熱い雰囲気という独自の魅力で、プレミアを盛り上げてくれそうだ。それぞれが残留をかけたライバルであると同時に、昇格組として日本のサポーター同士の連帯を実感した。
リーズは昇格組らしい苦労はあるものの、歴史深いクラブだけにサポーターと一体となって巻き返しの可能性は十分。ホーム・エランドロードの要塞っぷりは健在。今シーズンの開幕戦ではエバートンを破り、上位のAFCボーンマスに追いつかれるも粘りのドロー。ウェストハム戦では再浮上を予期させる姿も披露した。守備を固めて繰り出される鋭いカウンターを活かせば、中位定着も夢ではない。
ただし、力強いホームを離れたアウェイでの得点力不足、複数失点が続くと降格の危機が現実味を帯びてくる。解任論が高まるファルケと共に戦い抜けるか?それとも新たな監督との道を選びリスタートで勝負するのか?いずれにせよファンとしては、日本代表である田中の活躍と、伝統の「マーチング・オン・トゥゲザー」の精神で乗り切ってほしい。
じお:「リーズ・ユナイテッドの魅力は、サポーターとホームスタジアム・エランドロードの熱狂的な雰囲気にあります。僕自身も惚れ込んでいて、対戦相手が敬遠するほどの盛り上がりで、選手関係なくチームを応援したくなりますよね。動画視聴時はヘッドホンで音を大きくして体感することをお勧めします。日本のファンコミュニティも活発で、新規参入者を歓迎しています。選手たち、特に田中選手には活躍を期待していますし、彼の存在がチームのキーとなり、日本や世界に注目されるクラブになってほしいですね」
💬: “Every game we have been involved in this season, there has been periods where we have been hugely competitive. Standing at the sidelines I have felt that we were right in the game. I see a team who are constantly developing, hopefully we can keep
バーンリーは、序盤戦で同じ昇格組のリーズとサンダーランドを相手に得意の堅守速攻でクリーンシートを達成して勝利と健闘中。一方、ここまで30失点を喫しており(15節終了時)全体の安定感に欠けているのが率直な印象だ。
キャプテンのカレンが中盤を支え、アタッカーのアンソニーとフレミングが攻撃を引っ張り、マンチェスター・シティへ移ったトラフォードの代役である実力者のGKドゥブラフカが幾重もの決定機を阻止。軸が見えてきただけに、守備のテコ入れを進め拮抗した展開で勝ち点をもぎ取れるか、パーカーの手腕が試される中盤戦に。残留を掴み取るため、指揮官がチームを立て直せるか注目だ。
Ogura:「バーンリーのクラブの魅力は“泥臭さ”ですかね。現監督のパーカーに限らず、自分が好きになったきっかけです。ダイチが作ってくれたチームは選手の質ではプレミアリーグで劣るかもしれないけれど、チームとして皆で補いながら泥臭く勝ち点を取っていく、そこにともなう結果に一喜一憂できるところが自分は一番の魅力だと思います。大衆から好まれるわけではないとは思いますが、強いチームに立ち向かうクラブの姿が本当に好きになったので。コンパニーの時は、泥臭さがあまり感じられなかったのですが、今のパーカーが作ってるチームはそれがすごく期待できるところです」
ここまで昇格組のサプライズとして最も状況が明るいのは、サンダーランドだ。首位を走るアーセナルをホームで迎えて2-2のドローに持ち込むなど、好調を維持。メンバーはガラリと変わったが、ベテランのジャカを筆頭にまとまりのあるチームワークで上位争いに加わっている。ウェストハム戦の3-0勝利やウルヴァーハンプトン・ワンダラーズFC戦の2-0完封、ブレントフォードFC戦の2-1勝利など、堅実な試合運びが光っている。昇格組とは思えない、ル・ブリ監督がまとめ上げる成熟さがアフコン期間を乗り越えてリーグ終盤まで勢いを維持できるか。
ひじり:「独特なオーナーやチームの若いスタイルがあり、ここで残留してこの先も残っていければ、ブレントフォードFCやブライトン&ホーヴ・アルビオンFCのように独自のビジョンでプレミアリーグでも面白いクラブの一つになれるのではと、期待しています」
昇格組の明暗が分かれる今シーズン、リーズとバーンリーは苦しむ時間も過ごしたが、どちらもチームとしてのポテンシャルはチャンピオンシップで証明済み。冬の補強、今後の動向次第で浮上できるきっかけはあるはず。一方、サンダーランドの快進撃はプレミアの魅力を象徴するかのよう。見ていてワクワクするファンも多いことだろう。
最後に、EFLチャンピオンシップファンの目線で語られた、死守bot氏とじお氏のコメントにも触れておきたい。
死守bot:「皆頑張ってきてね!というラフな感じになりますが……今年の昇格組はどうなのかな?と気になっているスタンスの方が多いと思います。応援して見ている1チームじゃ足りない人、ぜひチャンピオンシップも見て欲しいなと。裾野を広げて40チームぐらい見ると、もっと面白くなるんですよね。沼の下のほうがもっとドロドロしてて面白いですよ。
皆さんが見てるのはフットボールの上積みの上積み、本当に綺麗なことしかやっていないので、70分間競り合い続けるとかそういうのがEFLでは見れちゃいます。とても楽しいです。個人的な目標は、少しでもチャンピオンシップの魅力を広める活動ができたらいいなと思いますので、皆さんよろしくお願いします」
じお:「チャンピオンシップの魅力を一つだけ伝えると、VARがない。自分はこれが本当にいいと思いました。プレミアリーグに慣れた方は、勝ち越しゴールとか逆転ゴール決めたのに、VARチェックの時間で止まってしまうのか、みたいなシーンありますよね。あれがありません。こんな快適だったんだな、フットボールって……と感じます。昔はそうだったんですけどね。でも、無くなった世界が戻ってくる感じなんで、皆さんぜひ!僕は戻りたいと思いませんが。あと、最近日本人選手も増えましたね」
以上、ユーモアを交えて締めくくられた昇格組企画。厳しい戦いを乗り越えたように、彼らが歩んできた道のりとストーリーはいずれもドラマチックだ。そのサポーターが見てきた景色、プレミアリーグだけでは知ることのない魅力を以て語られた期待と不安。苦難や悔しさ、険しい道のりが大きな経験につながり、ゆえにプレミアリーグでの舞台に想いを馳せる。
そんな3クラブとサポーターが挑む、冬の中盤戦を迎える過酷なイングリッシュ・プレミアリーグ。トップリーグへの再挑戦へ視野の広がったファンとクラブだからこそ、この1年を噛み締めるように見守るはずだ。今季も最後まで何が起こるか分からない、残留とその後の未来に懸ける3チームの今後から目が離せない。
文:BF(@bf_goodison)
ディ アハト第107回「集え!2025/26プレミアリーグ・昇格組!サポーターに聞く、3クラブの道のりと展望」、お楽しみいただけましたか?
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ディ アハト編集部
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