マッチレビュー 第5節 トッテナムvsチェルシー
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◇先手で仕掛けた、ヌーノの大胆なハイプレス+ショートカウンター
トッテナム vs チェルシー。ロンドンを拠点とする2チームは宿命のライバルとしても知られており、互いにプレミアリーグでの上位進出を目指している。
トッテナムはセンターバックにエリック・ダイアーを起用し、その相方としては23歳のクリスティアン・ロメロが先発した。アーセナルが最終的に獲得した冨安と同様、ビルドアップの局面で強みを発揮することでも知られるアルゼンチン人センターバックは、3バックを主戦術とするアタランタで躍動。今季より、トッテナムに加入した期待の選手だ。同時に新加入選手としてはブラジル代表のエメルソン・ロイヤルが右サイドバックに抜擢。年齢的にはロメロと同年代の22歳は、2017年のトゥーロン国際大会でも注目を集めていた。中盤には今シーズンからセントラルハーフに起用されるようになったデレ・アリとタンギ・エンドンベレを並べ、中央のピエール=エミール・ホイビュアをサポートする布陣を選択することになる。
Tanguy Ndombele makes his 1st PL start since Apr 21
CL王者チェルシーは、センターバックにチアゴ・シウバ、リュデガー、クリステンセンの3枚を起用。チームの精神的な支柱としても知られるアスピリクエタがセンターバックではなく「右ウイングバック」として先発し、逆サイドには好調のマルコス・アロンソ。前線の中央には今シーズンよりチェルシーに復帰し、存在感を放つベルギー代表のCFロメル・ルカクを配置し、その両サイドをカイ・ハフェルツとメイソン・マウントが支える布陣となった。
Romelu Lukaku has scored 4 goals in 4 apps this season - has scored only once in 13 apps v Spurs
駆け引きにおいて、先手として主導権を握ろうとしたのはトッテナムのヌーノだ。ポルトガル人指揮官は同郷のジョゼ・モウリーニョのようにゲームを安定させるのではなく、ドイツ代表のハンス=ディーター・フリックを想起させるようなハイプレスを選択する。
ここで鍵になったのは、ソン・フンミンのポジションだ。ケインがセンターフォワードではなく、クリステンセンの対面となる「左シャドー」でプレーすることでチャンスメーカーとして働きながら、スピードを武器にする韓国代表アタッカーを中央で起用。そして、ロ・チェルソはリュデガーをサイドに誘い出すようなプレーを狙っていた。
theathletic.com/2836334/2021/0… Cox: How Nuno's tactics created space against Chelsea's... Kane dropping deep on the left and Spurs dragging Kovacic an theathletic.com
その精密な戦術分析で知られるマイケル・コックスは、The Athleticにおいて「ヌーノはポチェッティーノを彷彿とさせるようなハイプレスで、チェルシー陣内でのボール奪取に成功した」とトッテナムの戦術を表現している。
ソンを中央に配置したことで、ヌーノは「トーマス・ミュラーがレヴァンドフスキの代わりにファーストプレスを担当するアプローチ」と同様に、運動量とスピードでチェルシーのビルドアップを妨害することを狙っていく。同時にケインがジョルジーニョの周辺から自陣に下がり、起点となるようなプレーを狙っていたのは周到に用意された妙手だ。ケインはフィジカル面の質的優位を活かし、中央のスペースで起点となる。ソンを中央に置くことで成立する強烈なハイプレスとケインを起点に「ソンのオフ・ザ・ボールでの技術を活用する」ショートカウンターを効率的に組み合わせたトッテナムは、序盤からチェルシーの自由を奪うプレッシングで主導権を奪う。
- 3 attackers matching 3 cb's.
- High cm's to press double pivot.
- High fullbacks to press wingbacks.
- 🔑 Hojbjerg behind them to sweep if press evaded, shifting from right to left in half spaces.
#TOTCHE #Spurs #Chelsea
ソンが中央で輝きを放てたのには、怪我の功名もある。ハリー・ケインのマンチェスター・シティが報道されたことで、彼はシーズン序盤にセンターフォワードとしてのプレーにも適応する必要があった。それが結果的に、ポジションチェンジした配置でもハリー・ケインと連携する攻撃を可能にしたのだ。