攻劇の目 先週の気になるジャッジ#12

審判活動の傍ら、様々なリーグやカテゴリーの試合におけるレフェリングの解説を行う攻劇(@kogekidogso)が、世界中の試合から注目のジャッジをピックアップ。各事象について、ルールの解説や見解を述べていくシリーズ記事です。
ディ アハト編集部 2022.05.12
誰でも

こんにちは、ディ アハト編集部です。本ニュースレターをお読みくださりありがとうございます。第63回は、先週行われた様々な試合の中から注目のジャッジを解説するシリーズ記事をお届けします。ぜひお楽しみください!

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Twitterを中心に様々なレフェリングの解説を行っている攻劇(@kogekidogso)が、前週に世界中の試合で起きた判定についての解説と見解を述べていく「攻劇の目」。

公開されている動画に該当シーンが含まれる事象は、その動画リンクも掲載している。ぜひ、文章とともにじっくりご覧いただきたい。

1.J1リーグ第12節 ガンバ大阪 vs ヴィッセル神戸(5月8日)

事象:37分のシーン。ガンバ大阪がCKからゴールネットを揺らすも、主審はエリア内でガンバ大阪のファウルがあったと判定。得点は認められなかった。

見解:ガンバ大阪23番のプッシングを取ったと思われる。ただ、試合映像からはファウルに相当するものであったとは感じられない。筆者の意見としてはゴールを認めるべきであり、少なくとも笛を吹くのを遅らせ、VARが介入できるように対応すべきだったと考える。

2.ジュピラー・プロ・リーグ 決勝ラウンド第3節 ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ vs クルブ・ブルッヘ(5月8日)

事象:1点ビハインドのユニオンがGKを前線にあげている状況で、クルブ・ブルッヘがカウンターを発動。ユニオン18番(三笘薫)がスライディングで相手選手を倒すも、そのままクルブ・ブルッヘが得点した。ユニオン18番にカードは提示されなかった。

見解:決定的な得点機会の状況で、ユニオン18番はファウルをした。ただし、こぼれ球を味方が決めたため、アドバンテージが適用されたことになる。そのためカードは色が1段階下がり、レッドカードが提示されることはない。とはいえ、1段階下がるということは、イエローカードの対象ということになる。筆者としても、イエローカードを出すべき事象だったと考えている。

 では、なぜカードが出なかったのか。筆者の推測では、主審はPK時のカード軽減対象も当てはめてしまったのだと思う。ボールにプレーしようと試みてPKを与えた場合、カードの色は1段階下がるのだ。そのため主審は、本来はレッドカードの対象だがアドバンテージを適用したのでイエローカードに、そしてペナルティーエリア内でありPKとなる反則のため、さらに1段階下げてノーカードという判定にしたのではないだろうか。

 しかし、ペナルティーエリア内の反則におけるカード軽減は、PKが与えられた場合にのみ適用される。今回はアドバンテージが適用されPKにはなっていないため、やはりイエローカードを提示すべきだった。なお、仮にカードが提示されていれば、ユニオン18番は2枚目の警告で退場となっていた。

3.WEリーグ 第11節 サンフレッチェ広島レジーナ vs INAC神戸レオネッサ(5月4日)

事象:右サイドからのクロスボールがバーに当たり、こぼれ球を広島が押し込んだ。ただ、副審が旗をあげており、INACベンチはこのシグナルがあった中で得点が認められたことに不満そうな様子であった。

見解:副審は、クロスボールがバーではなくゴールネットに当たり、一度フィールド外に出てから中に戻ったのだと見誤ったのだろう。しかし、中継映像を見ると、バーに当たったことがわかる。よって主審がしっかり見ており、正しくゴールが認められたといえる。ただし、副審は絶対に旗をあげてはいけないシーンでもあった。

4.セリエA 第36節 ヴェネツィア vs ボローニャ(5月8日)

事象:ヴェネツィア10番が相手ペナルティーエリア内で倒れると、主審はPKと判定。VARはノーファウルの可能性でオンフィールドレビューを勧めたが、主審は映像を確認しPK判定を保持した。

見解:筆者はPKを取り消すべきだったと考える。ボローニャDFはボールに触れており、手の接触もほとんどない。VARの介入は正しかっただろう。

シリーズ第12回となる本記事では、以上の4事象を紹介させていただいた。また、レフェリングを楽しむうえで欠かせない「VAR」についての記事も、本ニュースレターにて公開している。気になった方やもう一度復習したい方は、ぜひこちらも目を通してみてほしい。

攻劇の目 #11はこちら! ↓

    文:攻劇(@kogekidogso) 

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